脱毛も強力なセールスポイントになっている
株式会社化によって、経営責任者が医者ではなく企業家の手にゆだねられるということだ。
もっとも懸念されることは、外国資本の登場である。
海外、とくにアメリカの巨大なチェーン病院は、病院の吸収拡大をやって、巨額の収益を上げてきた。
アメリカでも株式会社が経営している病院は全体の3%ぐらいである。
そこには、徹底した利潤追求がある。
「バンパイア(吸血鬼)効果」とも呼ばれていることで、チェーン病院に吸収されると、健全な病院だったものが、利潤追求を求める病院に変わってしまうのだ。
T社とアメリカ有数の病院チェーンは、売り上げは1兆7000億円、利益が1200億円という(2002年)。
その利益のあげかたはすさまじい。
競合相手の病院を買収して閉鎖し強引な寡占化をしてから、競争相手をなくし、高額な医療費で医療を行って、他に病院がないので患者は来るという仕組みを作ってしまう。
看護師を辞めさせ看護助手という無資格者を雇い、不採算部門の科を閉鎖していく。
究極は、病院ぐるみの不正請求である。
実際に大きな問題となった。
こういったチェーン病院がロビイストや政治家に働きかけ、日本の医療に病院の株式会社化を迫っているのだ。
もし、いまのまま、病院の株式会社化が実現すれば、金融自由化により日本の銀行に再編が起きたのと同じような状況が、日本の医療業界にも起こるだろう。
資金的にはとてもかなわない外資系のチェーン病院に日本の中小病院などすぐに買収され、利益追求が医療の中心になってしまうだろう。
いままでの国立大学病院は2005年4月に独立行政法人となって、ひとつひとつの企業体となり、独自に経営を行わねばならなくなった。
たとえばT病院は新規設備などのために毎年3億円を越える返済に追われている。
現在のT病院は借入金返済額を含めて、診療経費に年間330億円が必要であるという。
病院の収入は250億円で、差額の帥億円は、運営交付金に依存している。
運営交付金は病院収入の2%(5億巴が毎年、5年間にわたり減らされるとされている(独立行政法人国立大学財務経営センター・ホームページより)。
つまりこの交付金に頼らない病院運営に切り替えていかなければ、T病院ですら存続ができなくなってしまうのだ。
こんな状況下で医療の自由化が起きた場合、経営の危ない大学病院は、外資系の病院経営に頼らざるをえなくなる可能性は高い。
事実、すでに海外の医療経営コンサルタントが入っている病院もある。
あとは医療法人の利潤追求の法律改正を待つばかりという状況なのだ。
そんな状況がわかっているからこそ、厚生労働省も医療法人の株式会社化に反対をしていたのだろう。
たとえ外国資本によって病院再編統合が起きたとしても、患者として満足度の高い医療が受けられるならそれでもいいかもしれない。
最終的には、患者の選択が決めることにもなるのだ。
患者がどんな医療を望んでいるか、反映される医療システムにすべきであろう。
ただアメリカの医療自由化をみれば、株式会社化は患者が喜ぶような結果には決してならないのは明らかだ。
それでも、いまの病院の収益ではとても抜本的な改善ができない。
あまりに病院の資本が軟弱で、大きな投資もできないからだ。
病院改革はなにも株式会社化だけがいいのではない。
病院の建物としての規制をもっと緩やかにすれば、娯楽施設との併設のような思い切った規制緩和をすることで、病院の敷地でありながら、医療だけの収益に頼らなくていい経営環境も必要だろう。
ホテルやスパなどの経営が医療法人でできるなら、その利益を病院へ還元することもできる。
医療だけの収益では、どうやってもいまのままでは利益は上がってこない。
アメリカは日本に政治的な圧力をくわえるとき、常にひとつの事業を集中的に攻めてくる。
農業の自由化しかり、金融自由化しかり。
そのおかげもあって、日本の企業の健全化が進んできたというプラスの一面もある医療に対してもすでにアメリカは日本に圧力をかけはじめている。
ただ医療法人の株式会社化ができなかったことでひとまず、それを食い止めたのが現状である。
ただ人材としての医療関係者の日本での就職は、すでに始まっている。
フィリピンからのナースが、日本で働くことが可能になった。
もちろん、「日本語能力検定1級」の資格が必要など多くの規制があるが、それでも画期的なことである。
ナース不足の問題が浮上したときから、外国人ナースを雇用することがすでに検討され医療法人の株式会社化ということだけでなく、病院がいかに他で収益を上げるかも、考えていくべきではないだろうか。
外国人医師が日本で医療行為ができるようになれば、言葉の問題を考慮しなければ、患者メリットは大きいかもしれない。
ナースの次は外国人医師が日本で働けるようにするかどうかだろう。
一般的に考えても、アメリカ人医師であればアメリカ本国で医師をしていたほうが、労働条件や給与の面でも恵まれているので、特別な理由がなければ日本で医師として就労するとは思えない。
まさにプロ野球の世界に近い。
契約金や年俸を日本とメジャーリーグを比較しても、圧倒的にメジャーリーグがいいわけだから、あえて日本で野球をやるというのは、海外で通用しない外国人ということになっている。
外国人医師が日本で働くケースとしては、外科的な手術が世界的な権威であり、日本の病院が一時的に雇いいれて、日本で富裕層を相手に手術を行うというような場合だろう。
法改正があればこういったことは可能になるだろう。
この場合は通常の保険診療では採算が合わないので、保険診療でなく自由診療(健康保険を使わないで、診療する側が値段を決める)で医療行為を行うことになるだろう。
そうなってくれば、誰もが受診できるという日本独自ともいえる公平性の高い医療は成り立たなくなる。
日本の医療は医療機関が、保険診療か自由診療かを選択することができる。
一般的には、健康保険を使って受診する患者がほとんどであるから、保険診療を選択している。
美容整形のように健康保険が使えない医療では自動的に自由診療となる。
今後は混合診療といって、保険診療のなかで一部の特殊な治療を自由診療にしていこうという動きもある。
結局、外国人医師が日本で働くようになっても、一部の医療機関だけの話で、日本の医療の環境の遅れは改善するとは思えない。
それくらい日本の医者の労働環境が悪いので、アメリカ人医師だけでなく、アジアの医者が日本で仕事をすることもありえないのではないだろうか。
専門医というものが、本当に医者の技術的な評価になるなら意味があるだろう。
だが、そこにはもっと別な問題がある。
専門医とは、ある特定の領域において秀でた技能をもつ有能な医者のことである。
こうした専門医を認定する制度として発足したのが専門医制度だ。
日本の専門医制度はアメリ力の専門医制度に準じてつくられてきた。
その経緯を大つかみにまとめれば次のように日本の医者は、医療法で定められている釦の診療科目のなかから、裁量的に科目を選ぶことが可能だ(自由標梼医制という)。
日本独特な制度で、戦後の医者不足という事情もあり、医師国家試験にさえ合格すればどんな診療科目も標梼できる。
理論上は専門医をいくつでも持つことができ、複数の基本的領域の専門医の資格を持つことが可能だったのだ。
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